最高裁判所第三小法廷 昭和32(オ)139 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人盛川康の上告理由第一点について。
第一審判決が「仮執行の宣言はしないこととし」たと理由に説示したのに、第二
審判決は理由を付せず仮執行の宣言をした違法ありというが、原判決は仮執行の「
必要あるものと認め」たことを理由としていることは自明のことである。
又、もし必要と認めた理由の説示を必要とする主張と解しても、仮執行の必要の
有無の判断は原審の裁量に委されているのであるから必要と認めた理由を一々説示
する必要はない。
同第二点について。
原判決は、権利濫用の有無を袋地の一点のみで判断した違法ありというが、原判
決は、事実摘示の部分に所論準備書面に基く権利濫用の抗弁を摘記した上、「その
他被控訴人が控訴人の犠牲において自己の利益を得るためにのみ本訴請求をしてい
るものとは本件にあらわれた全証拠によるもこれを肯認することができないから、
右控訴人の主張は採用できない」と判断してその抗弁を排斥しているのであり、所
論の違法はない。
同第三点について。
原判決が、賃料延滞の場合無催告で解除し得る約定を現在と格段の相違ある昭和
九年当時作成した例文証書によつて認め、解除を容認したのは理由不備の違法あり
というが、原判決は挙示の証拠を併せて右約定を認定しているもので、単に所論甲
一号証のみによつてこれを認定しているものではなく、まして昭和九年当時作成の
証書であるからといつて例文証書であるとは限らない。
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論旨の実質は、独自の解釈によつて事実認定を非難するものにすぎない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 垂 水 克 己
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